お役立ちコラム

延べ床面積とは?計算方法や必要な場面、間違いやすい用語も解説

2023年09月25日

建物を建てるときや取り壊すときなど、打ち合わせや見積書には「延べ床面積」という言葉が出てきます。

建築や不動産関係の仕事をしている人はなじみある言葉ですが、そうでない場合はどのような面積なのか疑問を持つでしょう。

今回の記事では延べ床面積について解説します。延べ床面積の求め方やどのような場面で使われるか、間違いやすい類似用語も取り上げているので、参考にしてください。

延べ床面積とは?計算方法や必要な場面、間違いやすい用語も解説

延べ床面積とは床面積の総合計

延べ床面積は、すべての部屋の床面積を合計した面積を指します。2階建ての戸建住宅なら1階と2階、マンションやビルなら各フロアにあるすべての部屋の面積です。

建物面積とも呼ばれ、延べ床面積を知れば建物の規模を把握できます。

また、建物の容積率を求める際にも使われる数値です。容積率は定められた上限があるため、延べ床面積も建物を建てるときの重要な要素となります。

延べ床面積の計算方法

延べ床面積を求める際は、壁または柱の中心線で囲まれた範囲で算出します。

壁や柱には厚みがあるため、仕上がり時の寸法は延べ床面積よりも小さくなります。また、延べ床面積に含まない箇所も存在するため、建物内の実際の広さと延べ床面積は一致しないケースが一般的です。

延べ床面積に算入しない箇所

吹き抜けのある建物では、上階の吹き抜け部分は床として使えません。そのため、吹き抜けの上階部分は延べ床面積に算入しないことになっています。

ほかにも、条件を満たせば床面積・延べ床面積に算入しなくて良い箇所が存在します。

・バルコニー・ベランダ、開放廊下、ピロティ、ポーチ、ひさし

・屋外階段

・小屋裏・天井裏やロフト、床下などの物置、倉庫

・着床できない階のエレベーターシャフト

・煙突

・地下ピット

・出窓

天井の高さや奥行き、開放部分の大きさ、壁の有無、柱の間隔など、場所ごとに条件はさまざまですが、通常の床として機能しない箇所はおおむね算入しないものとして扱われています。

不算入箇所がある場合、図面上で中心線に囲まれた範囲を計算しただけでは、正確な延べ床面積を算出できません。

建物の延べ床面積を調べたいときは、法務局にて登記簿謄本(全部事項証明書)を取得すると確認することができます。また、建物購入時の重要事項説明書や売買契約書にも記載されているので、書類を確認してみましょう。

延べ床面積が必要な場面

延べ床面積は容積率を求める際や、建物の申請・登記、建築、売買、解体時に必要な情報です。それぞれ、くわしく解説します。

容積率

容積率とは、敷地面積に対する延べ床面積の割合です。

建物を建てる際は、建物の用途や地域ごとに定められた容積率以内に収める必要があります。

建物の申請や登記時

建物を建てる際の建築確認申請や登記では、延べ床面積が必要です。

建築確認申請では、建物の面積を含め設計や計画内容が建築基準法や都市計画法に反していないかを確認されます。

新築した建物の登記も、所有者の情報や建物の所在地のほか、床面積が登記されます。

建物の建築時

床面積が広くなれば、建築費は多くかかるケースが一般的です。ハウスメーカーの費用目安として使われる坪単価は、坪数に換算した延べ床面積で建物価格を割って求めている場合があります。

ただし、坪単価の計算方法には、厳密なルールがありません。延べ床面積ではなく施工面積を坪数に換算して、坪単価を算出・提示しているハウスメーカーも存在します。

建物の売買時

建物を売買する際も、建物の情報として延べ床面積が必要です。

売主側は売買契約を結ぶにあたり、建物の情報を性格に伝える義務があります。一方、買主側は建物の規模を把握するために、延べ床面積を確認します。

建物の解体時

建物を取り壊す際の解体費用も、物件の規模が大きくなるほど多く必要です。

解体費用も坪数で提示されるケースが多く、延べ床面積の広さに応じて増える場合もあるでしょう。

ただし、建物の立地や構造によっても費用が異なります。目安として提示される価格以上の解体費用となるケースもあります。

解体後に別途追加で費用を支払うことにならないよう、解体費用は建物の広さだけでなく立地や構造も確認した内容で見積を取りましょう。

延べ床面積と間違いやすい用語

土地や建築物の話をするとき、延べ床面積のほかにも敷地面積や土地面積など、面積を表す言葉が登場します。

ここからは延べ床面積と混同しやすい、面積を表す用語を解説します。

敷地面積

敷地面積は土地面積とも呼ばれ、建物が建っている土地の面積です。土地を真上から見た外周で求める、水平投影面積を指します。

実際の大きさではなく投影部分で測るため、斜面にある土地では実際の面積よりも小さくなります。

建築面積

建築面積は、建ぺい率を求める際に使用され、建物を真上から見た外周で計算します。建ぺい率は、建築面積を土地面積で割って求めます。

一般的な住宅であれば1階部分の面積が、建築面積にあたるケースが多いでしょう。

施工面積

施工面積は主に住宅メーカーなどが実際に施行した範囲を示すために使っていますが、公的な基準はありません。

延べ床面積には含まない箇所も算入した数値で提示される場合もあるため、延べ床面積と混同しないよう注意しましょう。

まとめ

延べ床面積は建物にあるすべての部屋・フロアの床面積を合計した面積で、壁や柱の中心線で囲まれた範囲から求めます。ただし、特定の条件を満たせば延べ床面積に算入しない箇所もあるため、図面で中心線を見て計算しただけでは、正確に算出できない場合もあるでしょう。

延べ床面積は登記簿謄本(全部事項証明書)や、建物と取り引きする際の重要事項説明書、売買契約書などに記載されます。