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アスベストの有無は築年数から分かる? 解体やリノベーション時には要注意

2023年09月11日

深刻な健康被害が報告されているアスベストは、かつて建築資材として広く使用されていました。

現在では全面的に使用が禁止されていますが、古い住宅やビルにはアスベストが使われている可能性があります。

本記事では、自宅にアスベストが使われているかどうかを判断する方法と、アスベストが使われていた場合の注意事項を解説します。

アスベストの有無は築年数から分かる? 解体やリノベーション時には要注意 

アスベストとは? アスベストが危険な理由

アスベストとは、石綿(いしわた)とも呼ばれる天然の鉱物繊維の総称で、クリソタイル(白色綿)、クロシドライド(青石綿)、アモサイト(茶石綿)などの6種類があります。

アスベストの繊維は熱や摩擦に強く耐久性にも優れているため、耐火材や断熱材として幅広い用途で使用されていました。

アスベストの危険性

アスベストの繊維は髪の毛の約5,000分の1と非常に細かく、飛散したアスベストを吸い込んでしまうことで肺を中心とした健康被害を引き起こします。

代表的な事例として、肺の組織が硬くなる石綿肺、肺がん、腹膜や心膜の悪性中皮腫が報告されています。

建築でアスベストが使用されていた箇所

耐火性や断熱性が優れている素材として、アスベストは多くの建築材に使用されていました。

アスベストが使用されている可能性のある箇所としては、屋根、外壁、内装材、断熱材、内装の吹きつけ材があります。

アスベストを含む建築資材

かつて使用されていた建設資材でアスベストを含むものには、吹きつけ石綿、吹きつけロックウール、石綿含有保温材があります。

・吹きつけ石綿 

石綿、セメント、水を混合したもので防火・耐火・防音のために使用されていた

・吹きつけロックウール

吹きつけ石綿の禁止後に使用されていたもので、アスベストの含有率は5%未満

・石綿含有保温材

アモサイトなどを使った保温材や断熱材で配管などの保温材として使用されていた

築年数でアスベストの使用は判断できる?

アスベストの使用は住んでいる自宅やマンションにアスベストが使用されているかどうかは、建築年数によってある程度判断できます。

アスベストの使用状況を判断する基準となる年は、1975年、1995年、2006年です。

これは、アスベストの使用に関する規制の歴史と関連しています。

1975年以前に建設された建物

1975年は「特定化学物質等障害予防規則の改正」の施工によって、アスベストの含有率5%を超える施工が禁止され、断熱材として吹きつけによるアスベストの使用ができなくなりました。

吹きつけ石綿は1956年頃から1975年頃まで幅広い建設現場で使用されていました。

1995年以前に建設された建物

1995年には安全衛生施行令の改正によりアモサイトやクロシドライト製品の製造や使用が全面禁止になり、さらに特定化学物質等障害予防規則によりアスベストの含有率1%を超える施工も禁止されました。

1975年に吹きつけ石綿が禁止されて以来、主流となっていた吹きつけロックウールの使用が規制されました。

2006年以前に建設された建物

2006年に改正された安全衛生施行令により、アスベスト製品は全面禁止となりました。

このため、2006年以降に建設された建物にはアスベストが使用されていません。

築年数だけではアスベストの有無は断定できない

2006年以前に建設された建物ならアスベストが使用されている可能性はあります。

また、1995年以前の建設、1975以前の建設と、建築年数が古くなるにつれ、アスベストが多く使われていた可能性も高くなります。

ただし、どの年代でもアスベストが全ての建物に使われていたわけではなく、建築年数によってアスベストが使用されていた可能性は判断できますが、必ずしもアスベストが使われていたと断定することはできません。

自宅にアスベストが使われているかを調べる方法

築年数が20年、30年を超えるような一軒家やマンションでは、アスベストが使用されている可能性があります。

しかし、アスベストが実際に使用されているかどうかは目視で判断することは難しいです。

設計図や仕様書から調べる

住宅建設時の設計図や仕様書などの設計図書から、アスベストの使用の記録が分かることがあります。

また、使用されていた建築部材の詳細から、その商品がアスベストを含んだ建材か確認することも可能です。

専門業者に調査を依頼

築年数20年以上の住宅のリフォームや解体を検討している場合、建物にアスベストが使われているのかを調べる必要があります。

アスベストの有無を調査するには、アスベストに関する専門知識や技術を持つ専門業者を選びましょう。

まとめ

重大な健康被害をもたらすとしてアスベストは、原則的に2006年以降に建設された建物には使われていません。

しかし、2006年以前に建設された建物では、アスベストを含んだ建設資材が使用されている可能性があります。

築20年を超す住宅やマンションのリフォームや解体を考えている方は、アスベストが使われている可能性を意識して、アスベストに詳しい業者へ適切な調査を行いましょう。